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テクノロジー・製品

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導電性高分子アクチュエータ(人工筋肉)

導電性高分子に電気をかけると伸縮する特性は従来より知られていましたが、今回、世界で初めて伸縮率20%以上を達成することに成功し、実用化が可能となる性能レベルに達しました。 このアクチュエータは、発生力が大きい、軽いなどの特徴があるため、今までの電動モータに代わる新しいアクチュエータとして応用が期待されます。 また、高発生力タイプの導電性高分子はしなやかで強靱なため「導電性エンプラフィルム」として、高伸縮タイプは良溶媒中でで大きく膨潤する「導電性ゲルポリマー」としての応用も期待できます。

特徴

  • 1.単位重量・体積あたりの発生力が大きい
  • 2.構造体が樹脂であるため軽い
  • 3.駆動構造が単純で小さい
  • 4.分子レベルの動きであり音がしない
  • 5.低電圧(1.5 V)で駆動
 

1.アクチュエータ性能比較表

 
 従来の性能高発生力タイプ高伸縮タイプ筋 肉
伸縮率 1~3% 12~15% 20~40% 20%
最大発生力 3~5 MPa 49 MPa 2~10 MPa 0.35 MPa
動作電圧 1.5 V 1.5 V

22Mpaとは?

2.動作原理

電圧の印加と極性の入れ替えによる、a.高分子鎖のコンフォメーション変化b.ドーパントイオンの導電性高分子への出入りにより伸縮します。

導電性高分子アクチュエータ動作原理

3.動作設計

導電性高分子アクチュエータは、安価でテイラーメイドなアクチュエータで、下記の特徴があります。

・素子のサイズ
素子の長さを調整することで伸縮量(変位量)を、積層する(束ねる)枚数(本数)を調整することで発生力を、それぞれ任意に変えることができます。
 
・素子の構成と動き
導電性高分子アクチュエータは、軸方向の直動が基本ですが、2次元、3次元の動きをすることや、絶縁層を設けてアクチュエータを貼り合わせるバイモルフ構造で屈曲の動きをすることもできます。
 
・膜質とアクチュエータ性能
ドーパント及び製造条件を変えることで、膜強度、密度、膜厚などを調整でき、膜質やアクチュエータ性能を変えることができます。
・複合化
伸縮可能な骨材との複合化や、電極の設置方法の工夫によりアッセンブリーが容易になるだけでなく、伸縮率や応答速度の向上が図れます。

4.用途

製品化応用分野
既存のモータ、ソレノイド等の代替
小型・軽量、音がしない、低電圧駆動
新しい性能・特性によりデバイス部品の付加価値の向上
自動車、各種機械装置、建築、搬送装置、他
まったく新しい応用
既存のモータ等ではできなかった応用。 例:人工筋魚
介護機器、リハビリ機器
音がしないので機械音による不安感がない。
小型軽量化できる。
ロボット
軽量化が図れ、音がしないロボットが可能。
指、腕等の動力源。
単純な構造で、眼・皮膚の変化による表情の表現が可能。
ホビー、アート
人工筋肉あるいはプラスチックが乾電池で動くという、今までにない材料であるため、新たな発想によるユニークな製品や作品が可能。
    具体例:生物模倣、人工筋魚
医療手術デバイス
小型化が可能であるため、体内の細部での手術に適した能動型小型手術デバイスが可能である。
体外から電気的にデバイスを操作することができ、操作が容易であり、手術の信頼性・安全性が向上する。
カテーテル、ガイドワイヤー、内視鏡、他
センサ
感度が大きくセラミックの10倍の起電力を発生する。
素材が柔軟であり曲部や変位量の大きい場所での使用に適する。
同一素材でアクチュエータとセンサ機能を兼ね備えた製品が可能。
電池・キャパシタ

5.基本動作特性

高発生力タイプアクチュエータ特性データ

高速タイプポリピロールアクチュエータのスピーディーな直動伸縮(2秒で約4mm〔8%〕の伸縮)をそのままご覧になれます。

高伸縮タイプポリピロールアクチュエータの大きな直動伸縮(5秒で約10mm〔18%〕の伸縮)をそのままご覧になれます。

6.膜積層体

当社が開発したポリピロール膜は、高性能アクチュエータ特性以外に、しなやかで強靱なポリピロール膜であると言う特徴を持っています。
 これにより、いろいろな構造・機構の設計が可能となりました。また、ダイアフラム膜として使用することで小型ポンプとしての応用が期待されます。

特徴
      
  1. しなやかで強靱な膜なので、曲部にも使用可能
  2.   
  3. 任意の形状に加工可能(裁断等)

膜のサイズ・積層枚数を変えることで、いろいろな変位特性のアクチュエータの設計が可能です。アクチュエータがしなやかで強靱なフィルム状なので、曲部に沿ったアクチュエータの設置ができます。

試作例
 実測値設計値
積層枚数 1枚
サイズ 幅5mm×30mm
厚み 0.02mm
ストローク
 /発生力
1.8mm
 /50g
1.8mm
 /50gf
最大発生力 180gf 180gf
 実測値設計値
積層枚数 10枚
サイズ 幅5mm×25mm
厚み 0.2mm
ストローク
/発生力
1.4mm
 /500g
1.5mm
 /500gf
最大発生力 1500gf 1800gf
 実測値設計値
積層枚数 40枚
サイズ 幅5mm×25mm
厚み 0.8mm
ストローク
/発生力
0.7mm
 /2000g
1.5mm
 /2000gf
最大発生力 4000gf 7200gf
 実測値設計値
積層枚数 10枚
サイズ 幅5mm×120mm
厚み 0.2mm
ストローク
/発生力
5.5mm
 /400g
6mm
 /400gf
最大発生力 1300gf 1800gf
 
指構造体
指構造体

指の筋肉と同じように素子を配置することにより、前後・左右の自由な方向に関節を曲げることができ、本物の指に近い動きが実現できます。

素子をリング状にして用いることができるため、ピンなどでの素子の固定が行えます。  また、複数枚の素子を積層して用いることにより、必要な発生力にあわせて素子設計を行うことができます。

ィンガーモデルイメージ図

  

7.シリンダー型プランジャー

先端部のロッドが出入りする駆動をします。 膜状のアクチュエータをテープ状にして、積層や折り返しを行うことでシリンダー内に詰め込みました。 この方式は、積層枚数や折り返し数を増やすことにより、任意のストローク、又は発生力を得ることができます。

シリンダー型プランジャー

8.ダイアフラム型プランジャー

膜状アクチュエータを円形の膜として用いて、面でのアクチュエータ挙動により面の上下方向に駆動します。 この方式では、直径を大きくすることでストロークが大きくなり、膜の積層枚数を増やすことで発生力が大きくなります。

ダイアフラム型プランジャー

      

9.循環ポンプ

導電性高分子アクチュエータを使用した、モーターなどの駆動源がいらないダイアフラムポンプを世界で初めて開発! 生体と同じように振動/音がまったくありません。

高流量タイプ
  循環ポンプ 循環ポンプ2
特徴
  • ・高分子アクチュエータでできたダイアフラム自身が駆動するので、他にモーター等を使用する必要がない。
  • ・振動/音がまったくしない。
  • ・1サイクルの容量変化を大きくできるので、泡が混入しても液送できる。
  • ・自吸能力がある。
  • ・駆動周波数が1Hz程度で心拍に近い。
  • ・小型/軽量化が可能。
  • ・低電圧(1.5V)で駆動。
  • ・部品点数が少なく低コスト。
応用
パソコンCPU冷却ポンプ
  • ・振動、音がまったくしない
  • ・小型、軽量化が可能
  • ・流量、圧力性能の柔軟な設計が可能
燃料電池用ポンプ
  • ・小型、軽量ポンプ
  • ・低電圧駆動
バイオ検査デバイス用ポンプ
  • ・超小型、軽量ポンプ
  • ・低電圧駆動
色々なポンプとの特徴比較
 高分子アクチュエータポンプ圧電ポンプ遠心ポンプ
動作音 無音 周波数に応じた
数十dbの音
モーターや軸の回転音
数十dbの音
駆動電圧 DC 1~2V AC 100V DC 1V~
周波数 低周波
(5Hz以下)
高周波
(数十~数十kHz)
構造 単純 複雑 複雑
重量 軽い 重い 重い
対泡性 良い 悪い 悪い
強度 大きい 小さい 小さい
最大吐出圧 20kPa 20kPa 2kPa
最大吐出量 45ml/min 30ml/min 100ml/min
ポンプ体積 17cc 27cc 33cc
駆動原理の説明

2枚のポリピロール膜ダイアフラムに与える電圧を切り替えることで、交互に吸入、吐出を繰り返します。これによりポンプの回路としては、常に流体が循環しています。

駆動原理の説明

循環ポンプによる膜の動き ←循環ポンプによる膜の動き

 
ポンプ設計

吐出圧はダイアフラム径を小さくすることで高くすることができます。また吐出量は、ダイアフラムの数と振幅変位量を大きくすることで吐出量を多くすることができます。  このようなポンプ設計により、流量特性に応じて柔軟な設計が可能です。

試作実施例

寸法 □12mm
ダイヤフラム径 φ10mm
セル数 1
吐出圧 7kPa
吐出量 2ml/min
駆動周波数 0.5Hz
印加電圧 1.4V
電流 100mA

寸法 □27×4mm
ダイヤフラム径 φ10mm
セル数 4
吐出圧 55kPa
吐出量 3ml/min
駆動周波数 1Hz
印加電圧 2V
電流 200mA
※実測データ

寸法 □30×6mm
ダイヤフラム径 φ24mm
セル数 1
吐出圧 40kPa
吐出量 6ml/min
駆動周波数 1Hz
印加電圧 2V
電流 200mA
※実測データ

寸法 □44×13mm
ダイヤフラム径 φ18mm
セル数 4
吐出圧 20kPa
吐出量 45ml/min
駆動周波数 1Hz
印加電圧 2V
電流 300mA
※設計データ

寸法 φ45(47)×14mm
ダイヤフラム径 φ40mm
セル数 1
吐出圧 3kPa
吐出量 150ml/min
駆動周波数 1Hz
印加電圧 2V
電流 300mA
※設計データ

寸法 φ106(124.5)×85mm
ダイヤフラム径 φ100mm
セル数 1
吐出圧 13.6kPa
吐出量 2000ml/min
駆動周波数 1Hz
印加電圧 2V
電流 800mA
※設計データ
   

10.振動ポンプ付きヒートパイプ

ヒートパイプと弊社の導電性アクチュエータダイアフラム振動ポンプを組み合わせることによりヒートパイプの伝熱性能が大きく向上します。通常のヒートパイプとは原理が異なり、小型振動ポンプでヒートパイプ中の水を前後に動かすことで最大熱輸送量は既存のヒートパイプに比較し3倍向上します。
 試作したヒートパイプは、幅9.2mm、厚さ1.7mm、nagasa150mmの平板状。内部は幅0.55mm、高さ1.7mmの彩管が10本並び、細管の端は連続していることから1本の長い管になる。この管の両側にポンプをつなぎ、内部の液を押したり引いたりしてパイプ内の液体を移動させる。このポンプは弊社が独自に開発した導電性高分子を駆動源にしており、動作音が無く、発生力が大きいため、水冷方式の放熱システムに有利である。一方、従来のヒートパイプは薄型化と熱伝導性能の両立に限界があった。熱で蒸発した液体が蒸気圧差ででパイプの中を移動し、熱交換によって熱を放出し凝縮した液体がパイプの内部の毛細管力によって戻るという仕組みだったためである。今回、パイプ内の液体をポンプで強制的に移動させることによって、薄型のパイプでも高い熱伝導性能を実現することが可能になった。同一断面積で比較した熱伝導性能は、従来のヒートパイプに比べて今回のヒートパイプは3倍になり、熱輸送量で100Wが可能である。さらに、水冷方式に比べて部品点数が少なくなり、コスト面でも有利である。

次世代の放熱システムとして、この大幅な性能向上は現在のノート型パソコンの熱問題を一気に解決するものであり、パソコンの普及をさらに増加させ、産業的、社会的に大きなインパクトを持つ電子デバイスとなります。

特 徴
  • ・既存ヒートパイプの3倍の冷却能力
  • ・振動/音がまったくしない
  • ・小型/軽量化が可能    (1mm以下のパイプ厚さの設計が可能)
  • ・低電圧(1.5V)で駆動
  • ・部品点数が少なく、低コスト

振動ポンプ/ヒートパイプセット 製品イメージ
振動ポンプ/ヒートパイプセット 製品イメージ

振動ポンプ/ヒートパイプセット
製品イメージ

ポンプ構造図面
ポンプ構造図面
ポンプ内部構成
ポンプ内部構成
振動ポンプによる流体の動き

アクリル製の蛇行流路の中を、ポンプから送られる流体が動いています。流体の動きは、 液中に混ぜた金粉の動きにより確認できます。(0.5Hzにて駆動)

ヒートパイプ性能比較

振動ポンプ付平角ヒートパイプは同一断面積の既存品に比べ3倍の熱輸送量があり、ヒートパイプの冷却性能が大きく向上しています。(下表参照)

既存品イーメックス
扁平平角
外径量(mm)断面積m2熱輸送量w高さ-mm幅断面積m2熱輸送量w高さ-幅mm断面積m2熱輸送量w
1 0.8 2            
2

3.1

5            
3 7.1 13 2-3.6

7.2

6      
4 12.6 25 2-5.2 10.4 10 1.7-6.1 10.4 30
5 19.6 40 3-6.2 18.6 27 1.7-9 15.3 40
            1.7-16 27.2 75

11.人工筋繊維(ポリピロール・金属コイル複合体)

人工筋肉へ応用するための方法として、きわめて小さな負荷で伸縮する金属コイル上に導電性高分子の被膜を作製し、繊維状のアクチュエータ素子(φφ0.25mm)を開発しました。このアクチュエータ素子を多本数複合化することにより、発生力の大きなアクチュエータ構造体を実現しました。本アクチュエータは「押し」のデバイスとして最適です。

特徴
 
  1. 素子のみで、押し・引きが両方可能なアクチュエータ
  2.   
  3. マイクロアクチュエータデバイスの構築が容易

導電性高分子の被覆を行う前後の比較
(SEM写真)

SEM写真
SEM写真
顕微鏡写真
顕微鏡写真

人工筋繊維(コイル素子)の直動伸縮(5秒で約2mm〔15%〕の伸縮)をご覧になれます。小さなサイズで大きな伸縮が得られるため、マイクロアクチュエータに最適です。

【コイル素子構造体イメージ図】
 

素子(ポリピロール-金属コイル複合体)

  • 外径:0.25 mm
  • 発生力:20 gf
素子構造体イメージ図

素子を束ねることにより、発生力の大きな素子が得られます。

例)100本束ねた構造体
  外径:4.5 mm
  発生力:2 kgf

100本コイル素子構造体イメージ図

更に複数本束ねることにより、必要に応じた発生力、伸縮性能を持つアクチュエータを得ることができます。

例)100本束ねた構造体を 被覆し、更に25本束ねた 構造体
  外径:40 mm
  発生力:50 kgf

100本更に25本束ねた構造体イメージ図

【試作例】
 実測値設計値
積層枚数 1本
サイズ 0.25mm
厚み 15mm
ストローク 1.3mm 1.3mm
最大発生力 20gf 20gf
 実測値設計値
積層枚数 10本
サイズ 1.0mm
厚み 20mm
ストローク 1.7mm 1.8mm
最大発生力 230gf 200gf
 実測値設計値
積層枚数 50本
サイズ 2.2mm
厚み 20mm
ストローク 0.9mm 1.8mm
最大発生力 1000gf以上 1000gf
【空気中駆動小型デバイス】
人工筋繊維(コイル素子)1本と対極、電解液を一体化しました。0.5gの重りを動かしています。 ソフトケースを使用することで、曲げて使用することも可能です。約60度曲げた状態で動かしています。
(素子サイズ:外φ0.9mm×L30mm) (素子サイズ:外φ1.1mm×L15mm)

12.平面上金属電極との複合構造体

人工筋肉へ応用するための方法として、自在なアッセンブリーが可能な、膜状の複合構造体を開発しました。   この新規複合構造体アクチュエータは導電性高分子アクチュエータと金属板との複合体であり、これを用いることにより積層化などのアッセンブリーが容易になるだけでなく、 金属板が電極となることでアクチュエータ全体に均一な電圧を加えることができるようになりました。さらに、複合化することにより膜単体に比べて伸縮性能が向上するため、 より高性能なアクチュエータが実現できるようになりました。   これにより、膜単体に比べて大型なアクチュエータが可能となり、さらに多数枚の積層化が可能となったことで、大きな力を発生させるアクチュエータが可能となりました。

電極複合アクチュエータの動作の様子
 電極形状や材質の改良により、アクチュエータの動作速度が大幅に向上しました。下の写真をクリックすると、アクチュエータの動作の様子がご覧頂けます。


(素子サイズ:幅8mm、長さ:50mm)

素子サイズ:26mm×長さ100mm
※素子サイズを大きくすることで、変位量や発生力を大きくすることができます。
素子の動き(10秒で約10mm〔5%〕)の伸縮がご覧になれます。
特徴
  1. 積層化などのアッセンブリーが容易で、大きな力を発生できる。アクチュエータが可能となる。
  2. 膜素材の約2倍の伸縮性能を実現

13.高出力人工筋肉セル-1

研究初期の発表以来、多くのユーザーから早期に実用化レベルのデバイスの開発を要望されておりましたが、 やっとユーザの期待に応える高出力デバイスを提供できるようになりました。  世界で初めて実用化レベルの要求性能を満足する大幅に小型・軽量化した高出力駆動デバイスを開発いたしました。また、音も一切発生しません。 今回試作したデバイスは外形は3mmの円柱で、長さ50mmです。2ボルトの低電圧で100gの重さを毎秒5mmの速さで動かすことができます。 この出力性能は電動モーターの駆動性能の約5倍であり、ロボットの技術ニーズを満足するものです。 今後のロボット産業と介護ビジネスを大きく成長させることになります。  今後は大型化を目指し。高分子アクチュエータを高密度・高集積化することにより、アクチュエータの直径を10mm、長さ100mmとすることで20kgfの力を発生することが可能となり、 実際にロボットの腕、腰、足の駆動に使用できる小型・軽量・高出力デバイスが実現します。  また、小型・軽量・高出力・無音などの特徴はロボット以外にも自動車、家電、一般工業用など多くの分野で新たな応用が広がります。

さらに小型・軽量化した極細高出力駆動デバイスを開発

今回試作したデバイスは外形は直径1mm,長さ20mmです。 2ボルトの低電圧で25gの重さを毎秒1mmの速さで動かすことができます。

高出力人工筋肉セル-2

導電性高分子アクチュエータを利用した動力用人工筋肉

膜状の複合構造体アクチュエータを積層してセル化することにより、ロボットなどの動力として利用できるユニットタイプの人工筋肉を開発しました。電解液などの、導電性高分子アクチュエータの駆動に必要なものを密封して一体化してあるため、従来の電動モーターや油空圧シリンダーなどに代わるものとして、ロボットだけでなく幅広い機械に搭載できます。またアクチュエータがフィルム状であるため、薄型化するなどの柔軟なセル形状が可能です。また、セル内の高密度化を行うことにより、小型でも大きな発生力を持つアクチュエータセルを作ることができます。

特徴
    1. アクチュエータ素子の積層化により、高出力なアクチュエータが可能
    2. 素子自体の発生力が大きいので、小型・高出力なアクチュエータが可能
    3. 駆動機構、構造が単純なため、小型化、軽量化が可能
    4. 音がまったくしない
    5. 低電圧で駆動(1.5V)
試作品実施例
試作品実施例
セル寸法 20×30mm 長さ 140mm
変位量/発生力 4mm/10kgf
印加電圧 1.5V

さらにセル内の高密度化を行うことにより、小型でも大きな発生力を保つアクチュエータを作ることができます。また積層枚数を増やすことにより、さらに大きな発生力を持つ大型アクチュエータも可能となります。

人工筋肉セル(シースルーケース)
人工筋肉セル(シースルーケース)
<設計例>
設計例

「人工筋肉カンファレンス」にて、13kgの重りを持ち上げるデモを行いました。
セル寸法 30×30mm 長さ 157mm
アクチュエータサイズ 幅 20mm 長さ 95mm
150枚
変位量/発生力 5.5mm/30kgf
 8.5mm/12kg
印加電圧 1.5V

※設計データ

       

14.導電性高分子 バイモルフ型アクチュエータ

絶縁基材の表面(表裏両面)に導電性高分子アクチュエータを電解重合したアクチュエータ素子で、2枚の導電性高分子アクチュエータで絶縁基材をサンドイッチしている構造をしています。素子の両面に電圧をかけると、2枚の導電性高分子アクチュエータが下図のように伸縮するため、屈曲するアクチュエータ素子になります。  絶縁基材や構造の最適化及び駆動方法の検討により性能が向上し、高速駆動が可能なアクチュエータ素子が可能となりました。

<動作イメージ図>

動作イメージ図